新品・未使用品の買取価格がメーカー希望小売価格を超えることは、珍しくありません。 特にゲーム機は平均買取率(買取価格 ÷ 定価)が 9 割前後まで来ており、定価以上で買い取られている型番も実在します。 起きる条件は 3 つ — ①品薄で新品が定価で買えない ②生産終了・限定モデルで供給が止まっている ③値上げで新定価が上がり、旧定価との差が開いた — のいずれかです。 逆にこの条件を満たさないカテゴリでは、買取率は定価の 3〜6 割にとどまります。
「新品を買って、そのまま売る」という話をすると、たいていは 「買った値段より安くしか売れないでしょう」と言われます。多くの商品ではその通りです。 ところが実際に全店の買取価格を毎日集計していると、定価より高く買い取られている新品が 一定数あることが分かります。しかも一時的な現象ではなく、カテゴリによっては常態化しています。
この記事では、買取Xが記録している全店の買取価格と、メーカー希望小売価格を突き合わせて、 「買取率」という指標でカテゴリごとの実態を出します。そのうえで、定価超えが起きる条件と、 それを見つけるための具体的な手順を説明します。
買取率 = 買取価格 ÷ メーカー希望小売価格。
定価 10 万円の商品が 7 万円で買い取られていれば買取率 70%、
11 万円で買い取られていれば 110% です。
金額そのものではなく比率で見ると、価格帯の違う商品同士を横並びで比べられます。
カテゴリ別の買取率 — 実データ
まず全体像です。メーカー希望小売価格が判明している新品・未使用品について、 カテゴリごとの平均買取率を集計しました。数字は毎日更新されます。
| カテゴリ | 平均買取率 | 定価以上で買われている数 | 定価の 9 割以上 | 集計件数 |
|---|---|---|---|---|
| ゲーム | 89% | 23 件 | 43 件 | 127 件 |
| スマホ | 87% | 20 件 | 45 件 | 124 件 |
| PC・タブレット | 68% | 0 件 | 0 件 | 220 件 |
| オーディオ | 62% | 1 件 | 1 件 | 74 件 |
| 時計 | 59% | 0 件 | 0 件 | 302 件 |
| カメラ | 59% | 0 件 | 0 件 | 142 件 |
| 家電 | 36% | 0 件 | 0 件 | 55 件 |
※ メーカー希望小売価格が判明している新品・未使用品のみを集計。トレカは絶版 BOX のプレミアで桁が変わるため除外。買取価格は本日時点の全店最高提示額。
ゲーム機とスマートフォンが頭ひとつ抜けています。この 2 つは 買取店の取扱量が多く、回転が速く、品薄が起きやすいという共通点があります。 一方で家電は 3 割台。同じ「新品未使用」でも、カテゴリが違えば手取りは倍以上違うということです。
新品を仕入れて売ることを考えるなら、まずこの表を頭に入れておくと判断が速くなります。 買取率 3 割のカテゴリでは、よほどの安値で仕入れないと利益が出ません。 逆に買取率 9 割のカテゴリなら、ポイント還元だけで採算に乗る場合があります。
実際に定価を超えている商品
次に、いま実際に定価以上で買い取られている商品を、買取率の高い順に並べます。
※ 本日時点。買取価格は毎日変動するため、商品名から最新の全店比較を確認してください。
なぜ定価を超えるのか — 3 つの条件
定価超えは偶然ではなく、はっきりした条件の下で起きます。上の表に並んでいる商品も、 どれかに当てはまります。
① 品薄 — 定価では買えない
いちばん多いのがこれです。メーカーの希望小売価格は「その値段で売りなさい」という価格ですが、 供給が需要に追いついていなければ、実際には誰もその値段で買えません。 定価では手に入らない状態が続くと、市場の実勢価格は定価より上に張り付きます。 買取価格はその実勢価格から逆算されるので、結果として定価を超えます。
2026 年はメモリの高騰と円安で供給が細り、複数のカテゴリでこの状態が起きました。 ゲーム機の平均買取率がここまで上がっているのは、値上げそのものよりも 値上げの原因になった供給不足のほうが効いています。
② 生産終了・限定モデル — 供給が止まっている
アニバーサリーモデル、コラボ同梱版、初回限定パッケージ。 こうした商品は生産数があらかじめ決まっていて、売り切れたら二度と増えません。 需要が残っているのに供給が止まれば、価格は上がります。
上の表で買取率が飛び抜けて高いものは、たいていこの型です。 通常モデルとの違いは、時間が経つほど買取率が上がることです。 品薄型は供給が回復すれば元に戻りますが、生産終了型は戻る要素がありません。
限定モデルの見分け方については 限定モデル・コラボ商品の買取事情 で詳しく扱っています。
③ 値上げ — 旧定価と新定価の差
見落とされやすいのがこれです。メーカーが定価を引き上げると、買取価格は新定価を基準に上がります。 ところが手元にある在庫を買ったときの値段は旧定価のままです。 買取率を旧定価で計算すれば、当然 100% を超えます。
2026 年はこのパターンが大量に発生しました。PS5 は 4 月に 18,000 円、 Switch は 5 月に 10,000 円、Xbox は 8 月に 30,000 円の値上げです。 値上げ前に定価で買っていた人は、何もしなくても買取率が跳ね上がりました。 値上げが買取相場をどう動かしたかは メーカー値上げと新品買取相場 に発表日ごとの実測値をまとめています。
定価超え=儲かる、ではない
ここが最も大事なところです。買取率が 100% を超えているからといって、 そのまま利益になるわけではありません。理由は 2 つあります。
そもそも定価で買えない
買取率が高い商品は、たいてい定価で手に入りません。定価で買えないからこそ相場が上がっているわけで、 順序が逆です。転売価格で仕入れてしまえば、買取価格を上回ることも普通にあります。 「買取率が高い商品を探す」のではなく「定価で買えた商品の買取率を確認する」 という順序でないと意味がありません。
買取率は毎日動く
供給が回復すれば買取率は下がります。品薄型は特にそうで、 在庫が戻った瞬間に相場が一段落ちることがあります。 買取率 110% を見て仕入れたが、届いた頃には 95% になっていた、ということは起こり得ます。
買取率は定価という固定値と、毎日動く買取価格の比です。 定価は変わらないので、動いているのは常に買取価格のほうです。 仕入れる前・売る前には、必ずその日の全店の提示価格を確認してください。
「定価」という数字自体が曖昧になっている
買取率の話をするうえで避けて通れないのが、そもそも定価が存在しない商品が多いという点です。
日本では 1990 年代以降、多くのメーカーが希望小売価格を設定せず「オープン価格」としてきました。 価格の決定を小売店に委ねる方式です。家電は特にこれが多く、 上の集計で家電の件数が他カテゴリより少ないのはそのためです。 定価が公表されていない商品では、買取率という指標がそもそも計算できません。
一方、ゲーム機やスマートフォンは希望小売価格が明示されているものが多く、 メーカー直販の価格がそのまま基準として機能します。 Apple のように直販価格=実質的な定価という形が最も分かりやすい例です。 買取率で比較しやすいカテゴリと、しにくいカテゴリがあるということです。
定価がない商品は、買取率ではなく「主要な販売店での実売価格」と買取価格の差で見てください。 比率で語れないぶん、金額で見るしかありません。 実売価格は日々動くので、比較するなら同じ日の数字を使うことが前提になります。
同じカテゴリの中でも差は大きい
カテゴリ平均は目安にはなりますが、その中身はかなりばらついています。 ゲームというカテゴリひとつ取っても、本体・周辺機器・ソフトで性格がまったく違います。
2026 年に入ってからの動きで言えば、ゲーム機本体の買取相場は大きく上がりました。 PS5 が約 31%、Switch が約 16%、Xbox が約 13% です。 ところが同じ期間、Switch のゲームソフトの買取相場は約 5% 下がっています。 値上げの対象が本体だけだったこと、ソフトは発売から時間が経つほど値落ちすることが理由です。
つまり「ゲームは買取率が高い」という理解は雑すぎます。 正確には「ゲーム機本体は買取率が高い」であって、ソフトは別の値動きをします。 カテゴリで当たりをつけたあとは、必ず個別の型番で確認してください。
円安と海外需要という背景
買取率が上がっているもう一つの背景に、為替があります。 2026 年は 1 ドル 160 円前後で推移しました。日本国内の価格が据え置かれている間は、 海外から見て日本の新品は割安になります。
新品・未使用品の買取が成立している背景には、この輸出需要があります。 買い取った玉の出口が国内だけでなく海外にもあるので、 店側は国内相場だけを見て値付けしているわけではありません。 国内で品薄になっている商品ほど、この経路が効きます。
ただし為替は逆にも振れます。円高に振れれば海外向けの妙味は薄れ、 買取価格の押し上げ要因は弱まります。買取率が高い状態が永続する前提で在庫を積むのは危険です。
買取率で見ると、値引きの意味が変わる
実務的にいちばん役に立つのは、買取率を「その商品で許される仕入れ値の上限」として使う考え方です。
たとえば買取率 90% の商品なら、定価の 9 割より安く買えれば理屈のうえでは差益が出ます。 買取率 45% の商品なら、定価の 45% より安く買う必要がある。 セールで 3 割引になっていても、買取率 45% のカテゴリでは足りません。
| 買取率 | 差益が出るために必要な仕入れ値(定価比) | 典型的なカテゴリ |
|---|---|---|
| 90% 以上 | 定価の 9 割以下 | ゲーム機本体、人気スマートフォン |
| 70〜80% | 定価の 7〜8 割以下 | PC・タブレット、一部オーディオ |
| 50〜60% | 定価の半額程度 | カメラ、時計 |
| 30〜40% | 定価の 3〜4 割以下 | 家電全般 |
※ 送料・手数料・状態による減額を含まない目安。実際の採算はこれらを引いた手取りで判断してください。
この見方をすると、「セールで安い」と「利益が出る」がまったく別物であることが分かります。 定価 10 万円の家電が 3 割引の 7 万円で売られていても、 買取率 35% なら買取価格は 3.5 万円です。半額以下にしかなりません。 一方、定価 10 万円のゲーム機を定価どおり 10 万円で買っても、 買取率 105% なら 10.5 万円で売れます。 割引率ではなく、買取率と仕入れ値の関係で見るのが正しい順序です。
実例で追う — PS5 の買取率はこの半年でどう動いたか
言葉だけだと掴みにくいので、1 機種を最初から最後まで追ってみます。 PlayStation 5 の Slim ディスク搭載モデル(CFI-2000A01)です。 この機種は 2026 年 4 月 2 日に希望小売価格が 79,980 円から 97,980 円へ引き上げられました。 定価が動いた前後で、買取率がどう変わったかを並べます。
| 時点 | 希望小売価格 | 最高買取 | 買取率 |
|---|---|---|---|
| 1 月中旬 | 79,980 円 | 74,500 円 | 93% |
| 2 月中旬 | 79,980 円 | 75,300 円 | 94% |
| 3 月中旬(発表前) | 79,980 円 | 79,500 円 | 99% |
| 4 月中旬(改定後) | 97,980 円 | 97,500 円 | 99% |
| 6 月中旬 | 97,980 円 | 94,500 円 | 96% |
| 7 月中旬 | 97,980 円 | 103,500 円 | 106% |
| 8 月末 | 97,980 円 | 110,500 円 | 113% |
読み取れることが 3 つあります。
第一に、値上げの直前にはすでに買取率が 99% まで来ていました。 定価では買えない状態が先にあって、値上げはその追認だったという順序です。 値上げの発表を見てから動くのでは遅い、という話がここに出ています。
第二に、値上げ直後は買取率がいったん落ち着いています。定価が 18,000 円上がったぶん、 分母が大きくなったからです。買取価格自体は上がっていますが、比率で見ると横ばいに見える期間があります。 買取率だけを見ていると、この期間に「妙味が薄れた」と誤読します。
第三に、7 月以降ふたたび 100% を超え、8 月末には 113% まで来ました。 新しい定価が発表されたわけではないので、これは純粋に需給です。 供給が細い状態が続けば、定価が動かなくても買取率は上がり続けます。
同じ機種でも構成違いで買取率は変わる
最後に、実務上いちばん間違えやすい点を挙げておきます。 買取率は型番単位で見る必要があります。同じシリーズでも、 容量・カラー・同梱内容が違えば別物です。
たとえば同じ PS5 でも、ディスク搭載モデルとデジタル・エディションでは定価も買取価格も違い、 買取率も一致しません。同梱版はさらに別で、 同梱されているソフトやコントローラーの分だけ買取価格が上乗せされるため、 通常モデルより買取率が高く出ることがあります。
スマートフォンでは容量差が効きます。同じ機種でも、 容量が大きいモデルほど定価の上がり幅に対して買取価格が付いてこないことがあり、 買取率は下位容量のほうが高くなる、という逆転が起きます。
買取Xの商品ページは JAN コード単位です。 シリーズ名で検索したあと、手元の箱に書かれている型番と一致しているかを必ず確認してください。 カラー違い・容量違いで買取価格が数万円変わることは普通にあります。
買取率が高い状態はいつまで続くのか
経験的には、原因によって寿命が違います。
| 原因 | 買取率が高い状態の持続 | 戻るきっかけ |
|---|---|---|
| 品薄 | 短い(数週間〜数か月) | 供給が回復した時点で急に戻る |
| 値上げ直後 | 中程度(1〜3 か月) | 旧定価の在庫が市場から消えた時点 |
| 生産終了・限定 | 長い(年単位) | 基本的に戻らない。むしろ上がる |
在庫を持つ期間を決めるときは、この違いを意識してください。 品薄型は回転を優先し、生産終了型は急いで売る理由がありません。 値上げ型はその中間で、旧定価の在庫が市場から消えるまでが勝負です。
買取率の高い商品を見つける手順
実務としてどう探すか。順序は次のとおりです。
- まずカテゴリで絞る。上の表で買取率の高いカテゴリから見る。家電で 100% を探しても、母数がほとんどありません。
- 定価で買える経路があるか先に確認する。抽選、予約、店頭在庫。買えないなら買取率がいくら高くても関係ありません。
- 全店の提示を横並びで見る。買取率は最高値の店で計算します。1 社だけ見て「思ったより安い」と判断すると、実態を取り逃します。
- 供給の状況を確認する。品薄が解消しつつあるなら、買取率は下がる方向です。生産終了品なら逆です。
- 付属品と外装を揃える。買取率が高い商品ほど、状態による減額の絶対額が大きくなります。
買取率が低いカテゴリはどう考えるか
家電の買取率が 3 割台と聞くと、扱う価値がないように見えるかもしれません。 ただしこれは定価に対する比率であって、利益が出ないという意味ではありません。
家電は値引き幅が大きいカテゴリです。定価 10 万円の商品が実売 6 万円、 セールとポイント還元で実質 4 万円になることは普通にあります。 このとき買取価格が 4.5 万円なら、買取率は 45% でも利益は出ています。
つまり、買取率はカテゴリの性格を知るための指標であって、単体で採算を判断する指標ではありません。 採算は「実質いくらで買えたか」と「いくらで売れるか」の差で決まります。 実質コストの計算方法は せどりの利益計算 にまとめています。
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