ビルトインの IH クッキングヒーターとガスコンロは、 買取Xが扱うなかで単価がもっとも高い部類です。 ビルトイン IH は平均 8 万円台、上位機で 14 万円台。 ビルトインガスコンロも上位機は 10 万円台に届きます。 ただしこのカテゴリには決定的な制約が 2 つあります。 ガスコンロはガス種(都市ガス/プロパン)が違うと使えず、誤用は危険です。 そしてビルトイン IH は 200V の専用回路が必要で、設置に電気工事士の資格が要ります。 つまり買い手は一般消費者ではなく工務店やリフォーム業者で、 そのぶん相場の動き方も他の家電とは違います。
キッチンに組み込まれている調理機器は、家電量販店の店頭で目立つ商品ではありません。 それでも買取の対象としては単価が非常に高いジャンルです。
本体価格が 20 万円を超える製品が普通にあり、 新品・未使用品の買取価格も 10 万円を超えることがあります。
買取Xが扱っているのは新品・未使用品の買取価格です。 取り外した中古の設備機器とは水準がまったく異なります。 リフォームで発注したが使わなくなった、施主支給の予定が変わった、 といった経路で出てくる未開封品の相場としてお読みください。
ガス種が違うと使えない — しかも危険
ガスコンロを扱ううえで、これがもっとも重要です。
ビルトインガスコンロには都市ガス用とプロパンガス用があり、 それぞれ専用品です。
このため、商品名にはガス種がそのまま入っています。 「12A13A」と書かれていれば都市ガス用、「LP」と書かれていればプロパン用です。 買取Xの登録名にもそのまま入っています。
つまりこのカテゴリは、同じ機種でもガス種で別商品です。 型番だけで検索すると、自分の個体ではないほうの相場を見ることになります。
都市ガス用のほうが点数が多い
実データを見ると、都市ガス用の登録点数が プロパン用の 2 倍以上あり、上位機も都市ガス用に集中しています。
これは需要の厚みの差です。 都市ガスは人口の多い地域に供給されているので、 そちらに向けた品揃えが厚くなります。
ただし「プロパン用は価値が低い」という話ではありません。 買い手の数が違うだけで、 プロパン用を必要としている人にとっては都市ガス用は選択肢になりません。 自分の個体がどちらかを確認して、そちらの相場を見てください。
メーカーや型式によっては、内部の部品交換でガス種を変更できる場合があります。 ただしこれは専門業者の作業で、費用も別途かかります。 新品・未使用品として売る場合は、 買ったときのガス種のまま出すのが前提です。
ビルトイン IH は 200V の専用回路が要る
IH クッキングヒーター側の制約です。
ビルトインの IH クッキングヒーターを使うには、 200V の電源が必要です。 そして 200V を使うには単相 3 線式で給電されている必要があります。
キッチン付近に 200V の電源がない場合、 電気工事士の資格を持つ人が電源の新設工事を行うことになります。 これは資格が要る作業で、自分で行うことはできません。
| 必要になることがある工事 | 内容 |
|---|---|
| アンペアブレーカーの交換 | 分電盤の容量が 50A 未満の場合 |
| 回路の増設 | 分電盤に専用回路を入れる空きがない場合 |
| 配線とコンセントの設置 | 分電盤からキッチンまで引く |
| 接地工事 | アース配線のため |
費用の目安は工事の内容によりますが、 200V の電源工事だけで数万円、全体では 5〜7 万円程度、 作業時間は半日ほどというのが一般的な水準です。
つまり本体を買っただけでは使えません。 これがこのカテゴリの買い手を決定づけています。
買い手が一般消費者ではない
ここまでの 2 つの制約から導かれる、このカテゴリの本質です。
ガスコンロもビルトイン IH も、買った人が自分で設置できません。 ガスは資格を持つ業者、IH は電気工事士が必要です。
その結果、買い手の中心は工務店、リフォーム業者、設備業者になります。 一般の消費者が買う場合も、工事とセットで発注するのが普通です。
| ビルトイン調理機器 | 一般的な家電 | |
|---|---|---|
| 買い手 | 工務店・リフォーム業者が中心 | 一般消費者 |
| 需要の波 | リフォーム・新築の動きに連動 | 季節やセールに連動 |
| 世代交代 | 遅い(住宅設備のため) | 速い |
| 寝かせたときの値落ち | 緩い | 速い |
| 設置 | 資格者による工事が必須 | 自分で置ける |
実務的にいちばん効くのは世代交代の遅さです。 住宅設備は基本設計が長く使われるので、 スマートフォンや美容家電のように 「新型が出た瞬間に旧型が崩れる」という動き方をしません。
つまり在庫として持ちやすいジャンルです。 急いで回す必要が薄い、という点は HiKOKI 電動工具 と似ています。
メーカーごとの水準
| メーカー | 主に扱う | 買取価格の水準 |
|---|---|---|
| Panasonic | ビルトイン IH | 5〜14 万円台 |
| 日立 | ビルトイン IH | 5〜10 万円台 |
| ノーリツ | ビルトインガスコンロ | 4〜10 万円台 |
| リンナイ | ビルトインガスコンロ | 5〜8 万円台 |
| パロマ | ビルトインガスコンロ | 4〜8 万円台 |
※ 新品・未使用品の買取価格。同一メーカー内でもグレードで大きく異なります。
IH は Panasonic と日立、 ガスはノーリツ・リンナイ・パロマという住み分けになっています。
最高額は Panasonic のビルトイン IH で 14 万円台、 ガス側はノーリツの上位機が 10 万円台です。
点数は少ないが、1 台の差額が大きい
このカテゴリは登録点数そのものは多くありません。 ビルトイン IH とビルトインガスコンロを合わせても、 スマートフォンや電動工具のような点数にはなりません。
それでも記事として扱う価値があるのは、1 台あたりの金額が大きいからです。
本体価格が 20 万円を超える製品があり、 新品・未使用品の買取価格でも 10 万円を超えることがあります。 提示額の差が数万円になるので、 比べる手間に対する見返りが他のジャンルより大きくなります。
1 台で数万円の差が付くなら、 複数社の提示を確認する 10 分は十分に元が取れます。
今の買取価格を確認する
主なビルトイン調理機器の現在の買取価格です。型番をタップすると、 その型番を扱っている全社の提示価格が高い順に表示されます。
ビルトイン型と据置型はまったく別の商品
同じ「IH クッキングヒーター」でも、2 つのタイプがあります。
| ビルトイン型 | 据置型・卓上型 | |
|---|---|---|
| 設置 | キッチンに組み込む。工事が必要 | 置くだけ |
| 電源 | 200V の専用回路 | 100V のものが多い |
| 買取価格の水準 | 5〜14 万円台 | 1〜5 万円台 |
| 買い手 | 工務店・リフォーム業者 | 一般消費者 |
価格帯が桁で違います。 「IH クッキングヒーターの相場」で調べると この 2 つが混ざるので、まず自分の個体がどちらかを確認してください。
判別は簡単で、商品名に「ビルトイン」と入っているかを見れば分かります。 入っていない場合も、200V か 100V かで判断できます。
天板の幅が合わないと入らない
ビルトイン機器は、キッチンの開口部にはめ込みます。 そのためサイズが合わないと物理的に設置できません。
天板の幅には規格があり、一般的なのは 60cm と 75cm です。 同じシリーズでも幅違いの型番が用意されています。
買取の観点では、これも別商品という扱いになります。 型番が違えば別で登録されているので、 箱に書かれている型番をそのまま使ってください。
仕入れる側にとっては、どちらの幅が動きやすいかという判断材料にもなります。 既存のキッチンを入れ替える工事では、 開口部の幅が決まっているので選択の余地がありません。
型番にすべてが入っている
このカテゴリの型番は情報量が多く、読めるようになると相場が引きやすくなります。
| 要素 | どこに出るか |
|---|---|
| ガス種 | 型番のあとに「12A13A」または「LP」 |
| メーカーとシリーズ | 型番の頭(N3W=ノーリツ、RHS=リンナイ、PD=パロマ、KZ=Panasonic) |
| 色・仕上げ | 型番の末尾と、商品名の色名 |
| グレード | シリーズ名(リッセ、Fami、WITHNA など) |
たとえばガスコンロなら、シリーズ名(リッセ、Fami、Nest、WITHNA、repla など)が グレードを表しています。同じメーカーでもシリーズが違えば価格帯が違います。
色は特に注意です。 このカテゴリは天板やフェイスの色が複数用意されていて、 同じ型番でも色違いは別商品として登録されています。
なぜ新品未使用が出てくるのか
一般の家電と違い、このカテゴリには特有の経路があります。
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 施主支給の変更 | 自分で手配したが、工務店の提案に合わせて変えた |
| リフォームの中止・延期 | 先に機器だけ買っていた |
| サイズ・ガス種の取り違え | 開口部に入らない、ガス種が違った |
| 業者の在庫 | 現場が変わって余った |
| 建売・分譲の変更 | 仕様変更で不要になった |
とくにガス種の取り違えは、このカテゴリならではです。 見た目では分からないので、 届いてから、あるいは工事の当日に判明することがあります。
その場合、その個体は使えないまま新品で残ります。 返品ができないケースもあるので、買取に回ることになります。
ガスから IH へ、IH からガスへの入れ替え
このカテゴリの需要を理解するうえで大事な点です。
同じ方式のまま入れ替えるのと、方式を変えるのとでは、 工事の規模がまったく違います。
| 入れ替えの内容 | 必要になること |
|---|---|
| ガス → ガス | ガス種が同じなら比較的単純 |
| IH → IH | 200V 回路が既にあれば比較的単純 |
| ガス → IH | 200V 電源の新設。ガスの閉栓も必要 |
| IH → ガス | ガス配管の引き込みが必要 |
つまり今ある設備がどちらかで、選べる選択肢が決まります。 「安いからガスコンロを買う」という買い方が成立しません。 方式を変えるだけで工事費が本体価格に匹敵することもあるので、 ほとんどの入れ替えは同じ方式のまま行われます。
これが買取相場に効くのは、需要が二分されているという点です。 ガスの家はガスコンロを、IH の家は IH を探します。 片方が余っていても、もう片方の需要は埋められません。
賃貸では基本的に交換できない
もうひとつ、買い手を絞っている条件があります。
賃貸住宅では、キッチンに組み込まれた設備を勝手に交換できません。 建物の設備だからです。
そのため買い手は持ち家、あるいは事業者に限られます。 一般的な家電が「誰でも買える」のに対し、 このカテゴリは買える人が構造的に限られているということです。
点数が少ないのに単価が高いのは、この性質の裏返しでもあります。 だからこそ扱っている店も限られます。 一般の家電なら「どの店でも一応値が付く」ところが、 このカテゴリはそもそも受け付けているかどうかから分かれます。
買取Xで型番を検索すると、扱っている全社の提示価格が高い順に並びます。 このカテゴリは提示している店が少ないことがあります。 そういう型番は店ごとの差が大きく出るので、 1 社だけ見て判断せず、必ず全部を比べてください。
グリルと機能の違い
同じメーカーの同じ幅でも、グレードで機能が違います。 これが型番の枝分かれと価格差の中身です。
| 方式 | グレードで変わるところ |
|---|---|
| ガスコンロ | グリルの方式(水あり/水なし、片面/両面焼き)、天板の素材、自動調理 |
| ビルトイン IH | 口数、対応する鍋の種類、グリルやオーブンの有無、操作方式 |
ガスコンロのグリルは分かりやすい差です。 水なしで両面焼きができるものは上位グレードに付きます。
ビルトイン IH のほうは、使える鍋の種類が グレードで変わることがあります。 上位機には対応する鍋の幅が広いものがあります。
どちらもシリーズ名でグレードが分かるようになっています。 相場を調べるときは、型番だけでなくシリーズ名も控えておくと確実です。
査定で見られるところ
| 見られる点 | なぜ見るか |
|---|---|
| ガス種(12A13A / LP) | 別商品として扱われる |
| 天板の幅 | 60cm と 75cm で別型番 |
| 型番と色 | 色違いは別商品 |
| 未開封かどうか | 設備機器は施工前の状態が前提 |
| 付属品 | グリル皿、焼網、取扱説明書、施工説明書 |
| 外箱の状態 | 大型で重く、角が潰れやすい |
外箱についてもう一点。ビルトイン機器の箱は大きく重いので、 店頭や倉庫で積まれた段階で角が当たっていることがあります。 受け取った時点で状態を見ておいてください。後からは直せません。
このカテゴリで見落としやすいのが施工説明書です。 取扱説明書とは別に、工事をする人向けの書類が同梱されています。 買い手が業者である以上、これは実際に使われる書類なので、 必ず一緒に送ってください。
減額の一般的な理由は 新品買取で減額される理由と対策 にまとめています。
仕入れ側から見たビルトイン調理機器
新品で仕入れて買取に回す場合の注意点です。
第一に、ガス種を必ず確認する。 安く出ている個体がプロパン用だった、というのはよくある話です。 需要の厚みが違うので、安いのには理由があります。
第二に、重い・大きい。ビルトイン機器は本体だけで相当な重量があり、 外箱も大きくなります。送料と保管の両方に効きます。
第三に、回転は速くない。買い手が業者中心なので、 一般消費者向けの家電のように短期間では動きません。 そのかわり値落ちが緩いので、 在庫として持つ前提なら扱いやすいジャンルです。
第四に、季節性がほとんどない。 リフォームや新築の動きに連動するので、 夏物・冬物のような明確な波はありません。 実質コストの計算方法は せどりの利益計算 にまとめています。
「安く出ている」には理由がある
このカテゴリで仕入れを考える人向けに、もう少し具体的に書いておきます。
ビルトイン調理機器が相場より安く出ているとき、 理由はだいたい次のどれかです。
| 安い理由 | 何が起きるか |
|---|---|
| プロパン用だった | 買い手の数が都市ガス用より少ない |
| 幅が 75cm だった | 60cm の開口部には入らない |
| 据置型だった | ビルトインとは価格帯が桁で違う |
| 下位グレードだった | シリーズ名で分かる |
| 色が不人気だった | 色違いは別商品として動く |
どれも商品名と型番を最後まで読めば分かることです。 このカテゴリは情報が型番に集約されているので、 逆に言えば型番さえ正確に押さえれば読み違えません。
逆に危ないのは、シリーズ名だけを見て 「このシリーズは相場◯円」と覚えてしまうことです。 同じシリーズ内でガス種・幅・グレード・色が枝分かれしていて、 そのすべてが別商品です。
設備機器という商品の性質
最後に、このカテゴリ全体の性格をまとめておきます。
ビルトイン調理機器は家電というより住宅設備です。 その違いが、相場のあらゆる面に出ています。
| 性質 | 実務への影響 |
|---|---|
| 設置に資格と工事が要る | 買い手が業者中心になる |
| 建物の設備に縛られる | ガスと IH で需要が二分される |
| 賃貸では交換できない | 買える人が構造的に限られる |
| 世代交代が遅い | 寝かせても値落ちが緩い |
| 季節性がない | 売り時を待つ意味が薄い |
| 単価が高い | 1 台あたりの差額が大きい |
まとめると、急いで回す必要はないが、型番を間違えると大きく外す というのがこのカテゴリの扱い方です。
他の家電が「早く回さないと値落ちする」ジャンルであるのに対し、 ここは時間ではなく正確さが効くという違いがあります。
時間の余裕があるぶん、 提示額を全社ぶん比べる手間をかける価値があります。 単価が高いので、数千円の差ではなく数万円の差になることがあります。
売却までの流れ
- ガス種を確認する。箱と型番の「12A13A」「LP」の表記。IH なら 200V かどうか。
- ビルトインか据置かを確認する。価格帯が桁で違います。
- 天板の幅を確認する。60cm と 75cm で別型番です。
- 型番を色まで書き写す。色違いは別商品として登録されています。
- 買取Xで検索する。扱っている店と提示額を確認します。
- 施工説明書を探す。取扱説明書とは別に同梱されています。
- 集荷を確認する。重量物なので、持ち込みは現実的ではありません。
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